新しい年のはじめに、館長妻の叔父が作成した能面のうち、19の面を展示しております。
どうして能面展を実施しようとしたのかと申しますと、能面がどのようなものなのかを実際に間近で見ていただきたいのと、叔父が時間をかけて作成した能面のどれもがとても素晴らしい作品であることを知ってほしかったからです。
同時に、かつて高山右近がいた金沢でのミサの時間に、聖書を持たない金沢の人々に対して聖書の内容を能楽を用いて伝えようとしたかもしれないと思ったからです。
金沢の歴史を記してある「金沢古跡誌」という書物の中に、高山右近の能について「舞を見るなら高山右近、面かけずの十次郎」という囃子言葉が載せられています。お能の舞の名手であったことの証でもあります。右近の招きで宣教師が2名、金沢に滞在しておりました。そんな時代の少し前、ヨーロッパではやはり聖書を持たない、文字も読めない者たちの教化のために聖書の物語を題材にした「典礼劇」と呼ばれる芸能が行われていました。そのことを知っている宣教師のすすめで右近が、聖書物語を演目に面をつけて舞っていたのかもしれません。
そんなことを想うと、ギャラリーに保管しております30余の面を皆様にご覧いただき、400年前のミサの様子を想像していただければと願っています。どうぞギャラリーにお越しくださり、面の数々をご覧ください。